新規出店準備から資金繰りの不安解消まで 飲食店経営者が知っておくべき、銀行との付き合い方 カテゴリー1

Credo税理士法人
代表
水野 剛志
Mizuno Takeshi

Profile

慶応義塾大学商学部卒業後、大手税理士法人、コンサルティングファームを経て、2015年に飲食店の経営支援に特化したCredo税理士法人及びCredoコンサルティング事務所を設立

仕入代金や従業員・アルバイトの方への給与の支払いから、運転資金の管理、多店舗展開のための資金調達まで、飲食店オーナーと銀行との関わり方は多岐に渡ります。コスト削減や資金繰り安定化、効果的な新規投資につながる銀行の活用法にはどんなものがあるのでしょうか。飲食店を専門に、開業~多店舗展開まで、経営に関する総合的なサポートを提供するCredo税理士法人代表の水野剛志氏にお話を伺いました。

Points

Point1 従業員・仕入先への支払いにはネット専業銀行を利用すべし
-複数銀行の使い分けで経営を効率化-

ーーまず、飲食店経営者が銀行を利用するのはどんなシーンでしょう?

大きく3つです。まず1つ目は現金での売上を預けるとき。2つ目は仕入代金や、従業員やアルバイトの方への給与を支払うとき。そして3つ目は資金を貯めておくときです。

多くの飲食店経営者の方は、「どの銀行を使うか」ということについてあまり吟味されず、なんとなく最寄りの銀行で口座を開設し、利用を開始するパターンが多いですが、効率の良い店舗経営をするためには、それぞれの用途に応じて最適な銀行を使い分けることが重要です。

例えば、現金での売上を預ける用途なら、窓口やATMに頻繁に行く必要があるので、最寄りの銀行を利用するのが望ましいでしょう。仕入先への支払いや、従業員やアルバイトの方への給与の支払いに関しては、振込手数料が安価なネット専業銀行の利用がおすすめです。貯蓄に関しては融資してもらうための根拠として預けている側面が強いので、できるだけ融資額が多い規模の大きな銀行に預けておくのが良いです。

このように、用途によって銀行を使い分けることで現金の入金にかかる手間や、振込手数料などの目に見えるコストを削減できるだけでなく、預金という取引の実績を作っておくことで、いざというときに銀行から融資を受けやすくできることもあります。今、ひとつの銀行しか使ってない方は複数の銀行を使い分けることも検討してみてもよいと思います。

Point2 コスト削減効果は年10万円以上
-ネット専業銀行を利用しない手はない-

ーー飲食店にとってネット専業銀行はどんなメリットがあるでしょうか。

大きく分けると3つのメリットがあります。まず、1つ目はメガバンクや地方銀行などの従来の銀行と比べて振込手数料が圧倒的に安いところです。ネット専業銀行を利用した場合、振込件数によっては、従来の銀行を利用した場合と比べて、振込手数料を半分以下に抑えられることもあります。特に飲食店の経営の特色として、アルバイトや食材の卸売業者など、関係者が非常に多いということが挙げられます。結果として、給与や仕入代金支払いのため振込件数が多くなる傾向があるので、振込手数料の削減効果は非常に大きいと言えます。

また、従来の銀行のインターネットバンキングを利用する場合の場合、毎月2,000円から3,000円ほど利用料金がかかることが多く、年間で見るとなかなかバカにならない数字になります。

例えばですが、従業員数が10名程の一般的な飲食店の場合、振込手数料とインターネットバンキングの月額利用料金だけでも合わせて毎月1万円近くかかってしまいます。これを年間に直せば10万円以上。しかし、ネット専業銀行を利用すればその半分以上を節約できるとなれば、利用しない手はないと思います。

2つ目は使い勝手の良さ。ネット専業銀行以外の金融機関もインターネットでの振込などのサービスを行っている銀行もありますが、専門ではないため改善が遅く、操作性が良くなかったりします。あまりITに詳しくない方こそ、操作性の高いネット専業銀行の方がいいかなと思います。

3つ目は、わざわざ店舗の窓口やATMに行かなくても済むという点です。今でもときどき、銀行窓口やATMの前にできた行列を見かけますが、3店舗以上展開されているような飲食店経営者の方にとっては、そもそも銀行に行く時間がないので、スマホやタブレットひとつで給与などの振込が完了出来ると、大幅に手間が省けます。

逆に、ネット専業銀行を使うことの懸念点として、「実店舗がないので、現金の入出金が不便なんじゃないか」と言う人もいますが、実はそんなことはありません。むしろ、大手金融機関や全国のコンビニATMと提携していることが多いので、実際に利用可能なATM数は多いです(注)。

(注)住信SBIネット銀行のATMでご利用いただけるのは、紙幣のみとなります

ーー飲食店ならではの売上管理の方法などはありますか?

クラウドPOSレジ・クレジットカード決済の導入をおすすめします。

クラウドPOSレジを利用すれば、多店舗経営をされている場合でも、売り上げや支出の管理が一括でできるようになり、経営者自身が実際に店舗に足を運ぶことなく、どの店舗で何が注文されているのかリアルタイムで把握することができます。クラウドPOSレジなら、アプリをダウンロードすればタブレット一台で使い始められるので、導入時の手間もコストも最小限で済みます。

また、最近は、現金を持ち運ばない人も増えているためクレジットカード決済を可能にすることも飲食店経営においては大変重要です。こちらも、これまでなら代金が15日分まとめて、口座に振り込まれるという仕組みが多く、支出が頻繁に出ていく飲食店にとっては、資金的な余裕がなければ導入が難しい現状がありました。しかし今は早いところだと翌日自動入金が可能なため、資金的な心配をする必要がなくなっています。また、従来のものと比べてクレジットカード手数料が低いことも魅力の一つです。

Point3 新規出店時の資金繰りに最適
-トランザクションレンディングで経営の安定化-

ーー多店舗展開を考えると、新店舗への設備導入や、運転資金など、まとまった金額が必要になります。資金調達の際に金融機関とどう付き合うべきなのでしょう。

飲食店の売上はほぼ立地で決まってくるため、好立地の物件を見つけたら早めに動き出す必要があります。しかし一般的に、銀行は資金使途が明確でなければ、融資の検討をはじめることはできません。また、融資の申込から認可までは短くても3週間ほどかかります。もし、その間に狙っていた物件を競合に抑えられてしまえば、当然融資は白紙に戻り、また好立地の物件を探すところからやり直すことになります。

運転資金の確保という点で、おすすめしたいのが「トランザクションレンディング」の活用です。トランザクションレンディングの利用者は普段の入出金の情報などをもとにオファーされた、融資可能な金額・金利水準がいつでも確認できるだけでなく、融資の申込から最短翌営業日には資金が入金されます。また、面倒な書類による手続きも税理士への相談も不要なので時間の節約にもなります。

また、仮に融資を受けなかったとしても、今どれだけの額の資金調達が可能なのかということ把握することで、資金計画が立てやすくなり精神的な余裕も生まれます。例えば現在、運転資金が200万円しかないとします。しかし、トランザクションレンディングのオファーを通じて、300万円が数日で融資可能だということがすでにわかっている。そうすると500万円キャッシュを持っているのと同じような安心感を持って、経営に集中することができます。

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