米国雇用統計

米11月雇用統計(12月7日発表)直前レポート 

パッとわかる!米11月雇用統計のポイント

  • 前年比時間給賃金が3.0%台を維持し、賃金上昇を予感させるものになるか
  • 雇用統計を契機に米上記金利の上昇基調が再燃する可能性も
  • 来年以降の金融政策を占ううえで、堅調な労働市場の継続が示唆されるか否かに注目

今週12月7日発表の米11月雇用統計、予想値

6月 7月 8月 9月 10月 11月(予想)
非農業部門 就業者数(万人) +20.8 +16.5 +27.0 +11.8 +25.0 +19.3
失業率(%) 4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.7
時間給賃金 前月比 +0.1% +0.3% +0.3% +0.3% +0.2% +0.3%
時間給賃金 前年比 +2.7% +2.7% +2.9% +2.8% +3.1% +3.0%

米11月雇用統計の注目点、その前に・・・

  • (1)日本時間11月30日早朝に公表された11月FOMC議事要旨で、「さらなる漸進的な利上げ」という文言の変更を検討し、「利上げが“かなり近いうちに”正当化される」とほぼ全員が判断したことから、12月FOMCでの追加利上げが確実視されています。11月雇用統計が想定外の失望を招く結果にならない限り、12月FOMCでの利上げ予想に変更はないと思われます。
  • (2)すでに市場の焦点は来年以降のFRBの金融政策スタンスに移行していると思われます。9月のFOMCでは、今年3度目となる0.25%の利上げを決定したほか、声明文から「金融政策スタンスは緩和的」との文言が削除されました。また、前述の通り11月FOMC議事要旨では「さらなる漸進的な利上げ」の文言の変更が検討されている事実が明らかになりました。

9月FOMC時点では、今年12月の利上げのほか、来年は3回の利上げが規定路線になると見込まれていました。しかし、11月28日にニューヨーク経済クラブで講演したパウエルFRB議長は「政策に既定路線ない、金利は中立レンジをやや下回る」、「利上げの影響不確実、顕在化に1年以上かかる可能性もある」、「堅調な成長継続へ、FOMCと自分は予想している」などと発言。市場では、来年の利上げ回数が2回に減少される可能性や、来年中にも政策金利が中立金利に達し、利上げ局面が一旦終了する可能性を指摘する声も聞かれています。

9月FOMCでの経済見通し

2018年 2019年 2020年 2021年 長期均衡
実質経済成長率(%) 3.1 2.5 2.0 1.8 1.8
失業率(%) 3.7 3.5 3.5 3.7 4.5
個人消費支出インフレ率(%) 2.1 2.0 2.1 2.1 2.0
FF金利 中央値(%) 2.375 3.125 3.375 3.375 3.000
利上げ回数見通し(0.25%) 4 3 1 0 -

米11月雇用統計の注目点

上記を踏まえて今回の雇用統計での注目点を整理すると、前年比の時間給賃金が市場予想では+3.0%となっており、前月(+3.1%)に比して小幅に鈍化するものの、2ヵ月連続で3.0%台を維持する意味は大きく、今後の賃金上昇を予感させるものになれば、パウエル議長をはじめとするFRBの金融政策の方針はインフレ抑制の意識を再認識することになるかもしれません。当然、10月、11月の短期間では資料不足であるため、来年1月に発表される12月、さらには年末商戦が一段落する1月以降の雇用統計は、労働市場の引締まりが一段と強まるのか、時間給賃金の伸びが続くのかという点に注意して見る必要がありそうです。

グラフ:米時間給賃金 前年比および前月比(%)(出所:米労働省)

米10年債利回りは、11月上旬の3.24%台以降、原油価格の急激な下落の影響や、アップルをはじめとするハイテク関連株の調整を中心に下落基調が続いたことも影響し、株式から債券市場への安全資産への資金移動を背景に、先週29日には一時3.01%台へ低下、3.0%割れの可能性も指摘されています。11月雇用統計を契機に、インフレ期待の高まりとともに長期金利の上昇基調が再燃するのか注目されます。

12月1日の米中首脳会談では、来年1月に予定されていた10%から25%への関税引上げの見送りが決定し、一時的に米中貿易問題の一段の激化は避けられた格好となりました。知的財産権の保護やサイバー上のスパイ行為など、通商問題には直接的に関係しない案件について、今後90日以内に米中で合意できるかといった点に焦点が移行、通商問題は休戦状態といえそうです。そのため、金融市場では英EU離脱協定案を巡る英議会採決の行方や、イタリアの2019年予算案を巡る欧州委員会との対立といった政治的問題が欧州では残るものの、ドル/円に関しては再び経済・ファンダメンタルズに焦点が移行、純粋な経済指標に対する市場の反応が注目されます。

12月FOMCでの利上げは確実視されていますが、来年以降のFRBの金融政策を占ううえで、11月雇用統計で、堅調な労働市場の継続が示唆されるか、それとも弱気な兆しが見られるかが、注目のポイントとなりそうです。

グラフ:米非農業部門就業者数(万人)、失業率(%)(出所:米労働省)

前回10月雇用統計発表を前後したドル/円の値動き

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米国雇用統計とは?

米国の労働省が毎月発表する経済統計のひとつです。失業率や非農業部門就業者数、週当たり平均賃金など労働市場の情勢を見る十数項目のデータが盛り込まれています。米国の景気動向を測る上で最も重要な指標で、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定に影響を与えます。

雇用情勢の変化は個人所得や個人消費などに波及するので、為替市場や株式市場の材料となります。発表前からマーケット参加者に注目される度合いが高く、通信社などによるエコノミスト調査の予想値に基づいて相場が動くこともあります。

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